ペパーミント Mentha
piperita
ペパーミントは、ウォーターミント(Mentha aquatica)とスペアミント(Mentha
spicata)の交配種で、草丈約1メートルほどにまで育成するシソ科の多年生ハーブです。地中海地方が原産ですが、香料としての需要が非常に高く、現在ではヨーロッパ全土、アメリカ、日本などで広く栽培されていますが、アメリカが主要供給国になっています。ペパーミントは湿気のある気候条件で良く育つことから、雨の多いイングランド産のものがとても質の良いエッセンシャルオイルとされています。
ペパーミントの香りは、爽快な清涼感あふれるクリアな香りです。眠気を覚まして、意識をはっきりさせる働きがあります。睡魔と闘いながら仕事や勉強をする時には、とても助けになってくれるエッセンシャルオイル(精油)です。アロマランプで香らせたり、2、3滴ペパーミントを落としたティッシュやハンカチを机の側において、時折香ってお使いください。また、ペパーミントは精神を冷却する性質も持っています。怒りを抑えられない時や、ヒステリー状態に陥ってしまった時には、神経を鎮めて、冷静さを取り戻すのを助けてくれます。
ペパーミントは吐き気を感じる際にも役立つエッセンシャルオイルです。乗り物酔いやお酒を飲みすぎたときに、ティッシュやハンカチを使って芳香浴すると、気分を楽にしてくれます。外出の際は、1本携帯しておくと、いざという時に便利に使うことができます。ペパーミントには、胃腸の働きを促す優れた作用があると言われており、アロマテラピーでは特に腹部(胃の部分)をキャリアオイルを使ってマッサージする際によく用いられます。但し、肌に対する刺激が強いため、濃度に注意しながら行う必要があります。
足が疲れているときには、ペパーミントを足浴で用いるのもおすすめです。爽快な冷たさが、足の火照りをひんやりと癒してくれます。この場合、ラベンダーとブレンドすると更に高い効果が期待できます。立ち仕事で疲れたときなどに試してみてください。ペパーミントの量は1、2滴に留め、良くかき混ぜてから足をつけてください。入れすぎると肌に刺激となる場合があるので、注意してください。
ペパーミントには優れた殺菌、防虫作用もあり、ハウスキーピングにも有効に使えます。特にO−157に対する効果が注目されており、夏場などは、台所周りにスプレーしたり、におい消しも兼ねて生ゴミに1、2滴落としたりするのもおすすめです。
また、ネズミやゴキブリ、アリはペパーミントの香りを嫌います。これらの害虫、害獣を寄せ付けたくない場所に、ペパーミントをスプレーしておくと効果があります。
ペパーミントは、歯磨き粉、消化薬、お菓子、酒、煙草などの香り付けにも、古くから利用されてきました。ミントの葉は、サラダやデザートに添えられ、味と香りを引き立てます。ペパーミントはハーブティーとしても広く親しまれており、特にフランス人では最も人気のあるハーブティーのひとつとなっています。また、ペパーミントのエッセンシャルオイルの主要成分であるメントールは、医薬品にも広く用いられています。
ペパーミントは、他の多くのハーブと同じように、やはり古代エジプト、ギリシア、ローマ時代より親しまれてきた植物です。特に消化器系の不調を緩和する目的で、ペパーミントの浸出液が広く用いられていました。近代アロマテラピーの発展に大きく寄与した、フランスのジャン・バルネ博士は、肝臓と呼吸器に対するペパーミント油の働きの研究を行っています。
ミントには交配種を含めると120以上もの種類があります。有名なものには、ペパーミントのほかに、ウォーターミント、スペアミント、などがあります。このうち、スペアミントのエッセンシャルオイルはメントールを成分に含んでおらず、ペパーミントより穏やかです。
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