クラリセージ Salvia
sclarea
クラリーセージは、高さ約1メートル近くにまで育つ多年生のハーブで、乾燥した土地に生育します。うぶ毛の生えた葉は大きなハート型で、ややグレーがかった濃い緑色をしています。花の色は、白、紫、ピンクと多様で、葉の上に突き抜けるようにして、穂状花序に咲きます。エッセンシャルオイルは、この先端部分を開花時に摘み取って、水蒸気蒸留で抽出されます。地中海地方が原産といわれていますが、現在ではアメリカでも広く見られます。クラリーセージのエッセンシャルオイルは、ほのかに甘みと温かみを含んだスパイシーな香りがします。様々な優れた働きがあり、多様な目的に使えるため、アロマテラピーでは頻繁に使用される素晴らしいエッセンシャルオイルの1つです。
2000年以上前から、ケルト人はクラリーセージのハーブに人を陶酔させる作用があることを知っており、宗教的儀式を行う時に飲むお茶をクラリーセージの葉から作っていました。クラリーセージは陶酔作用と同時に強く甘い芳香を持つため、17世紀のイギリスではビール醸造の原料となるホップに代用されていました。ドイツでも、クラリーセージのエッセンシャルオイルの香りがマスカットワインに似ていることから、質の悪い安物のワインの風味を調えるために使われていました。飲酒中にクラリーセージのエッセンシャルオイルを使用すると、酔いが増長され気分が悪くなる場合があるので、注意が必要です。
クラリーセージには、心を穏やかにする優れた働きがあり、あらゆる種類のストレスや緊張を和らげて、気持ちを楽にしてくれます。神経が緊張している時や、心配ごとで頭がいっぱいになっている時、パニックに陥ってしまった時などに使うと、心を深く鎮めて安らぎを与えてくれます。また、気分が落ち込んでブルーになっているときや悲観的な感情に取り付かれてしまっているときにも、優しく心を温めて幸福感を感じる手助けをしてくれます。催淫特性を持っているエッセンシャルオイルの1つとされています。身体に対して抑圧するストレスを和らげる優れた作用があります。筋肉の緊張をほぐして、血行を促進するほか、体を温める効果もあり、入浴やマッサージでの使用もおすすめです。スポーツで手足の筋肉が疲れたとき、ストレスから頭や肩が重たいときにもアロマテラピーでは良く使用されます。
クラリーセージのエッセンシャルオイルについて特筆すべきことは、スクラレオールという物質を含んでいることです。スクラレオールは「植物ホルモン」と呼ばれる物質の一種で、体内で人間のホルモンに似た作用をしてくれます。スクラレオールは、主に女性の卵巣から分泌されるエストロゲンに似た働きをすることが判っています。エストロゲンは、加齢と共に分泌量が少なくなり、これが更年期のさまざまな不調や骨粗鬆症などの原因となると言われています。クラリーセージは、女性のとても心強い味方になってくれるエッセンシャルオイルです。
クラリーセージの名前は「清浄な」「明るい」を意味するラテン語の「クラルス」(英語の「Clear」に相当します)に由来しています。学名のsclareaはギリシア語で固さを意味する「スケリア」という言葉に由来し、これはクラリーセージの花弁の先端が小さく固い点になっていることから来ています。
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