サイプレス Cupressus
sempervirens
サイプレスは円錐形をしたヒノキ科の常緑樹で、25mほどの高さにまで生育し、樹齢2000年に達することもあります。地中海東部が原産で、フランス、モロッコ、スペインなど地中海沿岸地方で広く見られます。イタリアでは街の風景を飾る並木や庭木として植えられています。
サイプレスは、古代文化や宗教と非常に深く関わってきた木です。地中海に浮かぶキプロス(Cypress)島は、この木が崇拝されていた島として命名されました。古代エジプト、ギリシア、ローマでも、サイプレスは神々や死と密接な関係がある神聖な木として扱われていました。地中海地方の墓地の周りには、サイプレスの木が植えられているところがたくさんあります。学名の「sempervirens」は「永遠に生きる」という意味です。腐敗しにくい性質ももっており、建材としても非常に幅広く利用されてきた植物です。エジプトのアレキサンダー大王の艦隊はサイプレスで作られていました。ローマでは、娘が誕生したときに父親がサイプレスの木を植えるという習慣がありました。子供が成長して結婚する際に切り出し、様々なものに加工して嫁入り道具として使用したそうです。古代ギリシャやアラビアなどでは、咳や喉の痛みなど呼吸器系の症状に対して、サイプレスを使用していたと言われています。
サイプレスのエッセンシャルオイルは、落ち着いたウッディーな香りの中に、染みとおるようなスパイシーさを少しばかり含んでいます。日本の檜(ヒノキ)の近縁種で、香りも近く、「ヒノキ風呂」に似た香りです。ゆったりとした気分にしてくれる香りで、多くの人が心地よいと感じるエッセンシャルオイルです。
サイプレスは、心も体も引き締めてくれるエッセンシャルオイルといわれています。イライラしている時、怒りの感情が鎮まらない時、浮ついておしゃべりになり過ぎたり、集中力がなくなってしまっている時などに使うと、心を落ち着かせて精神を安定させてくれます。
またサイプレスは冷え性にもお勧めのエッセンシャルオイルです。冬場だけでなく、夏でも冷房の効きすぎが、手足や腰を冷やす原因となります。そんなときは、お風呂にサイプレスを3〜5滴程落として良くかき混ぜてから、ぬるめのお湯にゆっくりと時間をかけて浸かってください。スイートオレンジかレモンを1滴加えると、より高い効果が期待できると同時に、とても心地よい香りのバスタイムになります。
サイプレスは消臭の他、汗の臭いに対して最も便利なエッセンシャルオイルです。香りによるデオドラント作用に加え、身体を引き締めて発汗を抑えてくれるため、ローションスプレーやアロマバスでの使用は大変おすすめです。ラベンダーとブレンドして、足浴に使えば、気分をゆったりとほぐしてくれる上に、足の臭い対策にもなります。体液バランスを整えることから、グレープフルーツやジュニパーなどと並んで、マッサージにも使われます。
|