クローブ・バッド Eugenia
caryophyllata
クローブは高10メートルほどに育つ熱帯の常緑樹です。釘のような形をしたつぼみを蒸留して、黄色のエッセンシャルオイルが抽出されます。原産はインドネシアで、フィリピン、モルッカ諸島、マダガスカル、西インド諸島などの熱帯地域で広く栽培されています。葉や茎から採油されるエッセンシャルオイルもありますが、香りはやや劣ります。
クローブ・バッドのエッセンシャルオイルは、スパイシー、ウッディー、くだものの風味と木の香りを備えた、豊潤な温かみのある香りです。まったりとした趣も同時に併せ持っています。強い高揚特性があり、気力を高めたいときや、集中的に勉強や仕事に取り組みたいときに役立ってくれる香りです。特にローズマリーとブレンドして使うと効果的です。
クローブ・バッドは刺激が強いため、肌への使用には不向きですが、一方でハウスキーピングにはとても便利に使えるエッセンシャルオイルです。優れた昆虫忌避効果があるため、夏にアロマランプでお部屋に香らせて使うと、スパイシーな香りが涼しさを感じさせると同時に、とても上質の虫除けになってくれます。柑橘系のエッセンシャルオイル、特にスイートオレンジとの相性が非常に良く、ブレンドして使うと、虫除け効果と同時に、心地よいルームフレグランスを楽しむことができます。
クローブ・バッドには、オイゲノールと呼ばれる物質がたくさん含まれています。オイゲノールには、殺菌、殺ウイルス作用のほか、強い殺真菌(カビ)作用があります。このため、クローゼットや靴箱、押入れなどに、クローブ・バッドを染み込ませたコットンを置いておくと、衣類を虫から守ると同時に、カビが生えるのを防いでくれます。また、お部屋に香らしても嫌なカビ臭さを抑えてくれます。特に梅雨の時期にはおすすめの使用法です。
クローブは、現代の私達には香辛料としてなじみの深い植物です。釘型の蕾を乾燥させて作られるクローブのスパイスは、16世紀以来ペッパー(コショウ)と並んで、貿易品として重要な地位を占めてきました。インドカレーにおいては、シナモン、カルダモンと並んで欠かせない「ホールスパイス」の1つとなっています。
クローブは、古くから医療特性のために珍重されてきた植物でもあります。特に伝統的に歯痛の治療薬として用いられており、中国では、クローブの蕾を噛んで、歯の痛みを和らげるのに使っていました。現代でも、歯磨きの原料として使われており、市販されているチューブ入り歯磨の中には、クローブの香りを感じるものがたくさんあります。
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