シナモン・リーフ Cinnamomum
zeylanicum
シナモンは熱帯地方に育つ高木の常緑樹で、インドネシアが原産です。野生のものは樹高10メートルほどにまで生育します。つやのある葉と黄色の花を咲かせ、花後には白い実を結びます。腎臓の強壮剤として伝統的に好まれてきました。体の水分の流れを促進するといわれています。風邪やウイルス感染などにも良く働き、疲れを癒すともいわれています。もともとはスリランカ、インドのマラバ海岸地方、ビルマに自生していましたが、今は西インド諸島や南アメリカなどでも栽培されています。シナモンの皮から採れる、シナモン・バークというエッセンシャルオイルもありますが、これは刺激性がとても強いため、アロマテラピーでは通常使用されません。シナモンの樹皮は、感染症やリウマチ、消化器系疾患の治療薬として古くから利用されていました。
シナモン・リーフのエッセンシャルオイルは、土の香り、ウッディー、そして温かみのあるスパイシーな香りです。シナモントーストや、京都の銘菓、八橋でおなじみのニッキの香りとしても知られるシナモンですが、エッセンシャルオイルの香りは、より濃厚且つ、深くスパイシーです。
強い殺菌、消毒作用を持つエッセンシャルオイルで、かぜの季節にお部屋に香らせたり、梅雨の時期に室内のカビ臭を抑えるための芳香としてもおすすめです。特に柑橘系のエッセンシャルオイルと合わせて使うと心地よい香りになります。精神面に対しては、気分が沈み、無気力になっているときや、孤独感にさいなまれている時に助けになってくれるエッセンシャルオイルです。また、疲れを癒して、食欲を掻き立ててくれる効果が期待できます。
シナモンリーフは、心身ともに温かみを感じさせてくれるエッセンシャルオイルで、夏の冷房が苦手な人や、冬場手足が冷たくなってしまう人には大変役立ってくれます。但し、刺激が強いため、マッサージでの使用は控えてください。また、粘膜を刺激するため、アロマバスでの使用には適しません。敏感肌の人は使用を避けるようにしてください。
シナモン・リーフには、クローブ・バッドなどにも含まれる、オイゲノールと呼ばれる物質が含まれています(但し、含有量はクローブ・バッドよりも少ないです)。オイゲノールには、殺菌、殺ウイルス作用のほか、強い殺真菌(カビ)があるため、クローゼットや靴箱、押入れなどに、シナモン・リーフを染み込ませたコットンを置いておくと、衣類を虫から守ると同時に、カビが生えるのを抑えてくれます。梅雨の時期には特におすすめの使用法です。
シナモンは、インド料理やアラビア料理にとって非常に重要なスパイスです。特にインドカレーでは、クローブ、カルダモンと共に、欠かせない3つのホールスパイスの1つとなっています。インドネシア原産ですが、スパイスに対する需要から、18世紀にオランダ人がスリランカでの栽培を始め、その後イギリスによるスリランカ併合に伴い、英国東インド会社が取り扱う重要な交易品のひとつとなりました。
寺院の薫香としても使用されてきた植物で、フェニックス(不死鳥)は、ミルラ(没薬)とシナモンを燃やした魔法の火の中からよみがえったとされています。
|