フランキンセンス(乳香) Boswellia
carterii
キリストが生まれたとき、東方の三賢人がイエス誕生の馬屋で、神の子にもっとも価値あるものがふさわしいと考え、黄金とフランキンセンス(乳香)
とミルラ(没薬)を捧げました。黄金は『偉大な商人』の象徴であり、没薬は『偉大な医者』の象徴、フランキンセンス(乳香)は『偉大な預言者』の象徴であったので、三賢人は、キリストがどれを好むかを試したそうです。もちろんキリストはフランキンセンス(乳香)を選んだということです。
フランキンセンス(乳香)は、古代から現代まで宗教的な儀式には欠かせないもので、エジプトでは、太陽神ラーに捧げるため毎朝焚かれる香りでした。また古代は、病気は悪霊が取り付いて起こるものとされていたた
め、乳香で病人を燻蒸して、その人に取り付いている悪霊を祓うのにも使われました。
アッシリア人は、彼らのバール神の祭りに60トン近くの乳香を捧げ、ヘロデ王の弔いには、5000人の奴隷が乳香の桶をかついで、柩に従ったそうです。またローマ皇帝ネロは、妻の葬儀に際し、アラビアから1年分を買い取り、全部焚いて弔ったそうです。
また、今でもアルプス地方では、クリスマスと新年の間の十二夜に徘徊する悪魔を祓うために、聖なる香りとして、ジュニパー、セージ、モミなどを家や家畜小屋で焚くそうです。現在もカトリック教会のミサや儀式では焚く習慣が残っています。
フランキンセンスのエッセンシャルオイルは、ウッディーでかすかにレモンに近い染み透るような芳香を含んでいます。古くから祭壇や寺院で薫香としても使われてきた香りで、雑念を追い払って心を安らかに鎮めたいときに役立ってくれます。
フランキンセンスの香りには呼吸を深くゆっくりさせる働きがあると考えられています。このことは、フランキンセンスが瞑想の薫香に古くから利用されてきた理由の一つでもあります。ストレスを感じると人間の呼吸は浅く小刻みになります。フランキンセンスの香りを深く吸い込むと、呼吸がゆっくりと穏やかになり、心を深く落ち着けることができます。過去のいやな思い出を断ち切りたい時にも助けになってくれるエッセンシャルオイルとされ、アロマバスや吸入、芳香浴のほかマッサージでの使用もおすすめです。
スキンケア用としても人気があり、アロマテラピーでは特に老化肌に対するマッサージに最も良く使用されるエッセンシャルオイルの一つです。特にネロリとのブレンドは非常に高い相乗効果が得られるといわれています。身体面においては、サイプレスと並んでせきや喉の痛みなどに対して使われるエッセンシャルオイルです。吸入のほか、アロマバスやマッサージなどで利用されます。
サンダルウッドと同じように、年月を経るに従って香りと質が向上する数少ないエッセンシャルオイルの一つです。
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