ベチバー Vetiveria
zizanoides
ベチバーのエッセンシャルオイルは、温かみと深いコクを持つ独特の香がします。静かな木陰を連想させるような静かで落ち着きのある趣が特徴です。インド、スリランカでは「安静の油」とも呼ばれ、ストレスや緊張をやわらげて心を穏やかに静めてくれます。「安静の油」の別名の通り、鎮静効果に優れたエッセンシャルオイルで、人前でのスピーチ前などに緊張を抑えたい時に助けになってくれる香りです。揮発スピードの遅いベースノートの落ち着いた香りで、ティッシュやハンカチを使って芳香浴しても、周囲の人に不快感を与える心配がありません。もっと深刻な心理学的な障害も、この精油に好反応を示します。とくに、感受性が過度に強かったり極度に外向的だったりするときにこれが有益です。感情のバランスを取るのにも役立つと言われています。昼間の興奮が夜になっても冷めず、寝付かれなくなってしまった場合の香りとしてもお勧めです。寝室にアロマランプで香らせたり、就寝前のアロマバスにお使いください。
また、ベチバーは鎮静作用があるにもかかわらず、心身が疲労困憊した状態にあるときに非常に有益です。この精油は、体のあらゆる部分に酸素を運びとどけるのにぜひとも必要な赤血球を強めることを通じて体をよみがえらせます。
他にもベチバーは血流量を増加させるところから、各種の筋肉痛を和らげることができますし、またリウマチと関節炎の場合にも、これが役立つといわれます。
この精油は生殖器系にたいする強壮剤になります。そして、これのリラックス特性によつて、性的な障害の根底にひそむ緊張にたいして一定の効果を示すものと思われます。
ベチバーは体を全体的に健康にもどす力があります。そのうち、最小のことをあげても、この精油は眠りを助け、不眠症に著効を示して体をげんきづけてくれるのです。
殺菌作用と穏やかな収斂作用があり、皮脂の分泌バランスを整えることから、ニキビ肌や脂症肌に対するキャリアオイルを使ったマッサージのほか、アロマバスでも用いられます。パチュリーに少し似た趣が香りにありますが、パチュリーと同じようにやはり催淫作用を持つと考えられています。赤血球をサポートし、循環器系に働きかけて免疫力を高める作用もあると言われています。
濃い茶色の液体で、ベンゾイン(安息香)と並んで最も粘度が高いエッセンシャルオイル(精油)です。瓶を逆さまにしても、なかなか落ちてきませんが、これはオイルの元来の性質によるものです。
サンダルウッドやフランキンセンスと同じように、年月を経ると共に香りが良くなる数少ないエッセンシャルオイルの一つです。
ベチバーの独特の落ち着いた香りは、ベースノートとして調香の際に他の芳香とよくなじむことから、香水の原料としても広く利用されています。「ムスリーヌ・デ・ザンド」というヨーロッパの有名な香水はサンダルウッド、ベンゾイン、タイム、ローズ、ベチバーを使って作られています。脂症肌用の化粧品にも、ベチバーのエッセンシャルオイル(精油)は使われています。
原産地インドのカルカッタ地方では、ベチバーで作った簾が日除け用に使われています。暑い日に、この簾に水を蒔くと、独特の香りが漂って暑さを癒すことができます。ベチバーの根を粉にしたものは、衣類の防虫剤として使われていました。ベチバーの根の繊維を使って作られたマットには、天然の虫除け効果があります。
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